技術コラム
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絞り加工品の製作までの流れを徹底解説

絞り加工品の製作までの流れ

第1工程 ●ブランク形状と寸法の決定
体積一定の法則を基にどんな複雑な形状の絞りでも、そのブランク寸法・形状を計算で求めることができます。
ブラント絞り容器の関係と図解

第2工程 ●絞り工程数の決定
1回で絞れる深さには限界があります。
各種材料の限界絞り比、または限界絞り率と比較して判断します。
1回で絞れなければ2回、3回と何回も絞り加工を繰り返し成形します。(再絞り加工)
初回絞り加工と再絞り加工の関係

深絞り加工 do < h1 (円筒容器)
第3工程 ●金型設計
絞り加工を行うためにはパンチ、ダイスおよびブランクホルダーという絞り加工用の金型が必要となります。
絞り加工の金型構成

(1)パンチの直径
パンチ形状と寸法を決めます。(外形寸法=成形品内径)
限界絞り比との比較により、絞り回数が決まります。
(2)パンチ肩半径
パンチ肩半径部付近における材料の変形、曲げによる
材料の板厚減少での破断、しわの発生に注意します。
ダイスの設計
(1)ダイス穴径とクリアランス
パンチがダイスの中に入り込んだ時の
片側のすき間(クリアランス)の寸法決定も重要です。
(2)ダイス肩半径
ブランクホルダーにて、フランジ部で発生するしわを抑え
成形品をパンチから引っ掻き落とします。
第4工程 ●プレス機械の選定
選定にあたっては絞り加工力の計算が必要です。
これによってプレス機の必要な発生圧力を決めます。
プレス機にはクランクプレス(メガプレス)、油圧プレスがありますが、
絞り加工用のプレス機械として以下の条件を満たすことが望ましいです。
- 必要な絞り加工力としわ抑え力が同時に出力できる加圧能力があること。
- 全ストロークで絞り加工に必要な、エネルギー能力があること。
- パンチに張り付いた成形品を引きはがす逆方向の加圧能力があること。
- 金型取付のためのオープンハイトとダイハイト寸法があること(ストロークの長いプレス機)。 など
ストローク長さとオープンハイト・ダイハイトの関係

第5工程 ●絞り材料の選定
材料の機械的な特性は、以下の4つです。
①引張り強さ②降伏点(耐力)③伸び④硬さ
この中で③の伸びは材料の成形性を見る上で重要な特性であり、r値(アール値、ランクフォード値)、およびn値(エヌ値、加工硬化係数)が絞り成形法と相関します。(引張試験)
「n値(加工硬化係数)」
加工したり変形させたりすることによって材料が硬くなる性質をあらわす値。
(大きいほど硬くなる)
各種材料の加工硬化係数(n値)
材質 | n値 | |
---|---|---|
冷間圧延鋼板 | (SPCC) | 0.19〜0.22 |
7-3 黄銅板 | (C2600P-0) | 0.39〜0.44 |
ステンレス鋼板 | (SUS304) | 0.4〜0.45 |
純アルミニウム板 | (A1050P-0) (A1050P-H24) | 0.25〜0.27 0.1以下 |
純銅板 | (C1100P-0) | 0.27〜0.34 |
「r値(ランクフォード)とは?」
引き延ばしたときに板の厚さ方向よりも幅方向に縮みやすい材料であるかどうかを示す値(大きいほど絞りやすい)
r値と限界絞り比の関係

第6工程 ●潤滑油の選定
絞り加工は加工中のブランクが高い面圧を受けながら金型の上をすべるために潤滑油を使用しないと上手く絞れません。
潤滑油を使用しないと摩擦が大きくなり、破断、焼付き、かじりも発生し、金型もダメージを受けます。(ドライ絞り加工も昨今では行われるようになりましたが・・・)
(1)絞り加工用潤滑油について
絞り加工では、液圧潤滑油を使用します。油性タイプ(鉱油+各種添加剤)、水性タイプ(水+乳化剤+各種添加剤)に分けられます。粘度、後工程での洗浄、冷却性など目的用途に応じて選定します。
(2)潤滑油の選び方と使い方について
重要なのは、しわ抑え力がかかった段階でいかに多くの潤滑油をそこに留められるか、ダイス肩半径部にいかに多くの潤滑油を持ち込むかがポイント。(粘度、加工速度、ブランクの表面粗さを考慮します。)
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